岡山マンション市況物語|第10話 高く査定した会社へ任せれば、高く売れるのか?
2026.08.31
高く査定した会社へ任せれば、高く売れるのか?
三社の査定額に500万円の差
岡山市内のマンションを売却するため、売主様が三社へ査定を依頼しました。
- A社:3,300万円
- B社:3,450万円
- C社:3,800万円
売主様は、最も高い査定額を提示したC社へ任せようと考えました。
「同じ部屋なのに、なぜ500万円も違うのでしょうか。高く査定した会社の方が、高く売ってくれるのではないですか?」
少しでも高く売りたいと考えるのは当然です。
しかし、査定価格は、その金額で売れることを保証するものではありません。
査定価格と成約価格は違う
査定価格とは、過去の成約事例や現在の競合物件などをもとに、不動産会社が予測した価格です。
不動産会社が3,800万円と査定しても、実際にその価格で購入する買主がいなければ成約にはなりません。
売主様が自由に決める「売出価格」と、買主との合意によって決まる「成約価格」も異なります。
大切なのは、査定額の高さだけではなく、
「なぜ、その価格で売れると考えたのか」
という根拠を確認することです。
岡山の市場では何を比べるのか
岡山市内でも、エリアによって買主が重視する条件は異なります。
岡山駅周辺では、駅への近さや眺望、築年数などが評価されやすい一方、大元、北長瀬、問屋町などでは、敷地内駐車場を確保できるかどうかも重要です。
また、同じ3,000万円のマンションでも、管理費・修繕積立金・駐車場使用料を含めた毎月の負担によって、買主の印象は変わります。
査定では、次のような内容を比較します。
- 同じマンションの成約事例
- 周辺マンションの成約価格
- 現在販売中の競合物件
- 階数、方角、眺望、間取り
- 室内の状態やリフォーム履歴
- 駐車場の有無
- 管理費・修繕積立金などの月額負担
同じマンションで高く売り出されている部屋があっても、その価格で売れたとは限りません。
半年以上売れずに掲載されているのであれば、むしろ価格が市場に合っていない可能性もあります。
高過ぎる査定価格のリスク
不動産会社によって査定額が違うのは、参考にする事例や想定する販売期間が異なるためです。
一方で、売却の依頼を受けるために、実際に売れる可能性よりも高い査定額を提示する場合もあります。
高過ぎる価格で販売を始めると、買主の比較対象に入らず、販売が長期化することがあります。
その後、何度も値下げすると、
「もう少し待てば、さらに下がるのではないか」
「長期間売れていないのは、何か理由があるのではないか」
と思われる可能性もあります。
最初から安く売り出す必要はありません。
ただし、高い価格から始めるのであれば、どのくらいの期間その価格で販売し、反響がなければいつ見直すのかを決めておく必要があります。
査定書では「金額以外」を確認する
査定価格を比較するときは、次の点を不動産会社へ確認します。
- どの成約事例を参考にしたのか
- 比較した物件と売却物件には、どのような違いがあるのか
- どのくらいの販売期間を想定しているのか
- どのような買主を想定しているのか
- どのような方法で販売するのか
- 反響がなければ、どのように対応するのか
具体的な説明がなく、
「この価格でも売れると思います」
「まずは高く出してみましょう」
という提案だけであれば、慎重に判断した方がよいでしょう。
売主様が選んだ会社
最初の売主様が三社の査定内容を確認すると、C社の3,800万円は、同じマンションで現在売り出されている部屋の価格を主な根拠としていました。
しかし、その部屋は長期間販売されており、まだ成約していませんでした。
一方、B社の3,450万円は、直近の成約事例、現在の競合物件、室内状態、駐車場などを考慮した査定でした。
さらに、
「まず3,580万円で販売を始め、一か月間の問い合わせや内覧状況を確認します。反響が少なければ、競合物件と比較して価格を見直します」
という販売計画も示されました。
売主様は、最も高い査定額ではなく、根拠と販売計画が明確だったB社へ依頼しました。
販売開始後、複数の内覧が入り、価格交渉を経て3,500万円で成約しました。
査定価格より高く成約できたのは、高い査定額を提示したからではありません。
市場に合った価格で買主の検討対象に入り、物件の魅力をきちんと伝えられたからです。
比べるべきは「高い査定額」ではない
高く査定した会社が、必ず高く売れる会社とは限りません。
比べるべきなのは、査定書に記載された一番大きな数字ではなく、
「その価格で売るための根拠と道筋を、具体的に説明できているか」
という点です。
適正な価格を示すだけでなく、物件の特徴を理解し、岡山の市場に合わせた販売方法を提案できる会社を選ぶことが、納得できる売却につながります。
そして、売却を任せる会社が決まった後は、「どのような媒介契約を結ぶか」という選択が待っています。
次回予告
第11話
「媒介契約は、専任と一般のどちらを選ぶべきか?」
一社へ任せる専任媒介と、複数社へ依頼できる一般媒介。契約の違いや向いている売却方法について考えます。


