岡山マンション市況物語|第14話 購入申込みが入ったら、価格交渉に応じるべきか?
2026.09.28
岡山マンション市況物語|第14話
購入申込みが入ったら、価格交渉に応じるべきか?
「200万円下げていただければ購入します」
岡山市内で3,480万円のマンションを販売していた売主様に、待望の購入申込みが入りました。
しかし、買主の希望価格は3,280万円。売出価格から200万円の値下げです。
売主様は迷いました。
「せっかくの申込みなので受けた方がよいでしょうか。それとも、次の買主を待つべきでしょうか?」
購入申込みが入ると、提示された金額に目が向きます。
しかし、判断すべきなのは価格だけではありません。住宅ローン、手付金、契約日、引渡し時期など、申込み全体の条件を確認することが大切です。
まず確認するのは「購入できる見込み」
買主が住宅ローンを利用する場合は、事前審査の状況を確認します。
まだ金融機関へ相談していないのか、審査中なのか、すでに承認を得ているのかによって、購入できる確実性は異なります。
満額に近い申込みでも、資金計画が固まっていなければ、契約後に住宅ローンが通らず、売買が成立しない可能性があります。
一方、多少の価格交渉があっても、事前審査を終え、自己資金や購入時期が明確な買主であれば、安心して話を進めやすくなります。
金額以外の条件も比べる
購入申込書では、次の内容を確認します。
- 購入希望価格
- 手付金の金額
- 住宅ローンの利用予定
- 契約希望日
- 残代金の支払日
- 引渡し希望日
- 家具や設備などに関する条件
売主様が居住中の場合は、引渡し時期も重要です。
高い価格であっても、すぐに引き渡すよう求められ、次の住まいへの引っ越しが間に合わなければ、その条件を受けることはできません。
反対に、売主様の希望する引渡し時期に合わせてもらえるのであれば、価格交渉に応じる価値がある場合もあります。
値下げ幅ではなく、手取り額で考える
「200万円の値下げ」と聞くと、大きな損失に感じます。
しかし、販売を続ければ、その間も管理費、修繕積立金、固定資産税などの負担が続きます。
次の買主がいつ現れるか、その買主が満額で申し込むかも分かりません。
判断するときは、売買代金から仲介手数料、登記費用、住宅ローンの残債などを差し引き、実際にいくら手元へ残るかを確認します。
売却にかかる期間と維持費まで含めて比較することが大切です。
そのまま承諾する必要はない
買主から価格交渉を受けても、その金額をそのまま受け入れる必要はありません。
例えば、3,280万円の申込みに対し、
「3,380万円であれば売却します」
と条件を返すこともできます。
また、価格を譲歩する代わりに、次のような条件を調整する方法もあります。
- 引渡し時期を売主様に合わせてもらう
- 契約日を早めてもらう
- 室内の家具や荷物を一部残したまま引き渡す
- 設備の修理や交換を行わず、現状で引き渡す
価格とその他の条件を一緒に調整し、双方が納得できる着地点を探します。
売主様が出した答え
最初にご紹介した買主は、住宅ローンの事前審査を終えており、契約時期も明確でした。
さらに、売主様の住み替えに合わせて、引渡しを約3か月後まで待つことができました。
売主様は3,280万円ではなく、3,380万円を提示しました。
その後、双方で条件を調整し、最終的に3,350万円で合意。引渡し時期は売主様の希望に合わせることになりました。
売出価格からは130万円下がりましたが、売主様は安心して住み替えを進めることができ、買主も予算内で購入できました。
価格だけで判断せず、取引全体の条件を調整したことで、双方が納得できる契約につながったのです。
最も高い申込みが、最も良いとは限らない
購入申込みが入ったときに確認したいのは、
- 購入資金の見通しが立っているか
- 手付金や契約時期は適切か
- 希望する引渡し時期に対応できるか
- 特別な条件や要望がないか
- 最終的な手取り額はいくらになるか
という点です。
最も高い申込みが、必ずしも最も良い申込みとは限りません。
大切なのは、
「いくらで売れるか」だけでなく、「どの条件なら安心して取引を完了できるか」
を考えることです。
購入申込みは、買主から示された最終結論ではありません。
売主様と買主が、価格と条件の着地点を探す交渉の始まりなのです。
次回予告
第15話
「売買契約を結べば、もう売却は確定なのか?」
手付金、住宅ローン特約、契約解除など、契約後から引渡しまでに起こり得ることと、売主様が確認しておきたいポイントについて考えます。


