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岡山マンション市況物語|第7話 リフォームしてから売るべきか? そのまま売るべきか?

2026.08.10

岡山の中古マンション市場で、改装費用は回収できるのか

岡山市内では、新築マンションの価格が上昇する中、中古マンションへ目を向ける買主が増えています。

岡山駅周辺や表町、中山下、内山下といった中心部だけでなく、大元、問屋町、北長瀬などでも、新築と中古を比較しながら住まいを探す方がいます。

そこで、築年数が経過したマンションの売主様から、よくいただく質問があります。

「古いまま売るより、リフォームしてから売った方が高く売れますか?」

確かに、きれいに改装された部屋は広告写真でも目を引き、買主が購入後の生活を想像しやすくなります。

しかし、300万円のリフォームをすれば、必ず300万円以上高く売れるわけではありません。

一方で、何も手を加えずに売り出したために、本来の価値よりも低く見られてしまう部屋もあります。

今回は、岡山の中古マンション市場において、売却前にリフォームした方がよい部屋と、そのまま売り出した方がよい部屋の違いを考えます。

岡山で中古マンションを探す買主の二つの考え方

岡山で中古マンションを探す買主は、大きく二つのタイプに分かれます。

一つは、購入後すぐに住める部屋を探している方です。

仕事や子どもの入学、現在の住まいの退去時期などが決まっており、購入後に時間をかけて工事をすることが難しいため、できるだけ手直しの必要がない部屋を希望します。

もう一つは、室内が古くても、立地や広さ、価格を優先する方です。

購入価格を抑え、浮いた予算で自分好みにリノベーションしたいと考えています。

岡山駅周辺や中心部のマンションでは、県外からの移住、定年後の住み替え、戸建てからの買い替えなど、購入理由もさまざまです。

大元や北長瀬、問屋町などでは、通勤や買い物の利便性に加えて、駐車場の確保や子育て環境を重視する世帯もいます。

同じ築年数、同じような室内状態であっても、エリアやマンションによって買主が求めるものは異なります。

そのため、すべての部屋に同じリフォームを行っても、同じ効果が得られるわけではありません。

同じマンションで、二つの部屋が売りに出た

岡山市内のあるマンションで、ほぼ同じ時期に二つの部屋の売却相談がありました。

どちらも築年数は20年を超え、水回りや内装には相応の使用感がありました。

一つは、一般的な広さの3LDKです。

売主様は、

「古く見えると売れないと思うので、全部きれいにしてから売りたい」

と考えていました。

もう一つは、角部屋で比較的広さのある住戸でした。

こちらの売主様は、

「リフォームに大きな費用をかけず、今の状態で売りたい」

というご希望でした。

一見すると、全面リフォームをする最初の部屋の方が売りやすく思えます。

しかし、過去の成約事例や現在販売中の物件、想定される買主層を確認すると、二つの部屋に同じ方法は適していませんでした。

一般的な3LDKは、住宅ローンを利用する子育て世帯や、購入後すぐに入居したい方が中心です。

一方、広さのある角部屋は、戸建てから住み替える方や、自分の生活に合わせて間取りを変更したい方からの需要が見込まれました。

部屋の古さは同じでも、買主が求める完成度が違っていたのです。

岡山では「室内が新しい」だけでは決まらない

中古マンションの価格は、室内の状態だけで決まるものではありません。

岡山の買主が比較する条件には、次のようなものがあります。

立地、築年数、階数、方角、眺望、専有面積、管理状態、管理費、修繕積立金、駐車場、そして室内状態です。

特に岡山では、マンションを購入しても自動車を利用する世帯が多く、敷地内駐車場を確保できるかどうかが重要になります。

室内をきれいにリフォームしても、駐車場が確保できないことで検討を見送られる場合があります。

また、管理費と修繕積立金が高いマンションでは、購入価格だけでなく、住宅ローンを含めた毎月の支払い総額が比較されます。

例えば、未改装で2,500万円の部屋と、リフォーム済みで2,900万円の部屋があったとします。

リフォーム済みの部屋はきれいでも、買主の予算上限を超えれば、検索の段階で候補から外れてしまいます。

少しエリアを広げれば、築年数の浅いマンションや、駐車場を確保しやすい物件が見つかるかもしれません。

売主様がいくら費用をかけたかではなく、買主がその価格を、岡山のほかの選択肢と比べて納得できるかどうかが重要なのです。

リフォーム費用が、そのまま売却価格に上乗せされるとは限らない

売却前に500万円をかけてリフォームしたから、売却価格を500万円高くする。

計算上は分かりやすいのですが、実際の市場はそのとおりには動きません。

買主が評価するのは、工事にかかった金額ではなく、その工事によって生まれた価値です。

高価なシステムキッチンを設置しても、買主が希望する色や使い方と合わなければ、工事費と同じ金額では評価されません。

3LDKを広い2LDKへ変更しても、子ども部屋を二つ必要とする世帯には選ばれにくくなります。

売主様にとって使いやすい間取りが、次の買主にとっても使いやすいとは限らないのです。

さらに、工事期間中にも管理費、修繕積立金、固定資産税などの負担は続きます。

工事の完成を待ってから販売を始めれば、その間に同じマンションや近隣マンションで競合物件が売り出されることもあります。

判断すべきなのは、リフォーム後にいくら高く売れそうかだけではありません。

工事費、工事期間中の負担、売却時期、そして想定価格で売れなかった場合のリスクまで含めて考える必要があります。

リフォームしてから売りやすい部屋

岡山の中古マンション市場で、リフォームが効果を発揮しやすいのは、買主が「すぐに住めること」を重視する部屋です。

一般的な広さの2LDKや3LDKで、初めて住宅を購入する方や子育て世帯が主な買主になる場合が考えられます。

住宅の購入には、物件代金のほかに、登記費用、住宅ローン費用、仲介手数料、引っ越し費用などがかかります。

そのうえで、購入後に数百万円のリフォーム費用を用意するとなれば、買主の資金計画は複雑になります。

リフォーム済みであれば、購入に必要な総額が分かりやすく、工事の打ち合わせや完成を待たずに入居できます。

また、相続した空室や、長期間使用されていない部屋など、現況のままでは生活を想像しにくい物件も、リフォームによって印象が変わることがあります。

ただし、売却のためのリフォームでは、売主様の好みを強く反映させ過ぎないことが大切です。

個性的な壁紙や高価な設備よりも、明るく清潔で、幅広い世帯が受け入れやすい内装の方が販売には向いています。

売主様の理想を実現するためではなく、買主が安心してそのまま住める状態をつくるための工事と考える必要があります。

そのまま売った方がよい部屋

反対に、全面リフォームをせず、現況のまま販売した方がよい部屋もあります。

岡山駅周辺や表町など、立地そのものに希少性があるマンションでは、築年数が経過していても、場所を優先する買主がいます。

高層階、角部屋、広い専有面積、良好な眺望など、室内以外に明確な強みがある場合も同様です。

このような物件を探す買主の中には、最初から全面リノベーションを前提としている方がいます。

独立型のキッチンを対面式に変更したい。

和室をなくしてリビングを広げたい。

将来を考えて段差を減らしたい。

収納を増やし、夫婦二人で暮らしやすい間取りにしたい。

希望する暮らし方は買主ごとに異なります。

売主様が先に全面リフォームすると、買主がその内装を再び解体することになり、かえって選びにくくなる場合があります。

現況販売は、単に費用をかけない方法ではありません。

購入価格を抑え、買主が自由に手を加えられる余地を残すという販売戦略でもあります。

全面リフォームをしなくても、直した方がよいところ

現況のまま売ると決めても、何も確認せずに販売してよいわけではありません。

全面リフォームと現況販売の間には、「部分補修」という選択肢があります。

例えば、水栓からの水漏れ、閉まりにくい建具、切れた照明、破れた網戸、目立つ壁紙の剝がれなどです。

売主様から見ると小さな不具合でも、買主には費用の分からない不安として映ります。

水漏れを見て、配管全体に問題があるのではないかと考える。

一つの扉が閉まりにくいことで、ほかにも故障があるのではないかと心配する。

壁紙の汚れから、部屋全体が大切に管理されていなかったように感じる。

少額で直せる明確な不具合は、販売前に補修した方が、内覧時の不安や価格交渉を減らせることがあります。

一方で、まだ使用できるキッチンや浴室を、売却のためだけに新品へ交換する必要があるとは限りません。

直すべき不具合と、買主の好みに委ねる部分を分けることが大切です。

岡山の中古マンションでは、清潔感が大きな差になる

設備を新しくしなくても、ハウスクリーニングによって印象が大きく変わることがあります。

特に、キッチンの油汚れ、浴室の水あか、洗面台、トイレ、窓ガラス、バルコニーは、内覧時によく見られる場所です。

築年数の経過したマンションを見学する買主は、古いこと自体は理解しています。

しかし、「古いけれど丁寧に使われている部屋」と「手入れされていない部屋」では、受ける印象が大きく異なります。

古い設備でもきれいに清掃されていれば、買主は入居後しばらく使用できると判断できます。

反対に、汚れが目立つと、実際には使える設備まで交換が必要だと思われることがあります。

ハウスクリーニングは、部屋を新しく見せるためのものではありません。

現在の状態と本来の価値を、正しく見てもらうための準備です。

全面リフォームほど大きな費用をかけずに印象を改善できるため、多くの売却物件で検討する価値があります。

リフォームの見積りだけを用意する方法

売主様が工事を行わず、リフォームの見積りだけを用意して販売する方法もあります。

中古マンションの内覧では、買主から次のように聞かれることがあります。

「水回りを全部交換すると、どのくらいかかりますか」

「この和室をなくして、リビングを広げられますか」

買主にとって不安なのは、室内が古いことだけではありません。

どこまで工事ができるのか、いくら必要になるのか分からないことです。

壁紙の貼り替え、水回り設備の交換、床の補修、間取り変更など、想定される工事の概算があれば、買主は購入価格とリフォーム費用を合わせた総額を考えられます。

マンションでは、構造や管理規約によって変更できない箇所もあります。

床材の遮音性能、水回りの移動、窓や玄関扉などの共用部分に関する制限も確認しなければなりません。

工事を実施しなくても、リフォーム会社の参考プランや概算見積りを用意することで、買主が判断しやすい部屋に変えることができます。

売却前に比較したい三つの金額

リフォームをするか迷ったときは、少なくとも三つの金額を比較します。

一つ目は、現況のまま売却した場合の想定価格です。

二つ目は、リフォーム後の想定価格です。

三つ目は、リフォーム費用と、工事期間中に必要となる維持費です。

例えば、現況で2,500万円、300万円をかけてリフォームすれば2,850万円で売れると予想したとします。

表面上は350万円高くなります。

しかし、そこから工事費300万円を差し引けば、差は50万円です。

工事と販売に時間がかかれば、その間の管理費、修繕積立金、固定資産税も必要になります。

さらに、必ず2,850万円で成約するとは限りません。

そのため、売却価格だけではなく、最終的に手元に残る金額と、売却までにかかる時間を比べる必要があります。

岡山の市場で同じマンションや近隣物件がいくらで販売されているか、新築や築浅物件との差がどの程度あるかも重要です。

リフォームによって価格を上げた結果、買主から見て新築や築浅物件と競合する価格帯になれば、中古としての割安感が失われることがあります。

二つの部屋が選んだ販売方法

最初にご紹介した二つの部屋は、それぞれ異なる販売方法を選びました。

一般的な広さの3LDKは、全面リフォームまでは行いませんでした。

使用できる設備は残し、目立つ壁紙と床の傷みを補修し、水回りのハウスクリーニングを実施しました。

照明を整え、明るい時間に写真を撮影し、購入後すぐに生活を始められる状態であることを伝えました。

工事費を抑えたことで、子育て世帯が検討しやすい価格帯も維持できました。

一方、広さのある角部屋は、あえてリフォームを行わずに販売しました。

室内の荷物を撤去して清掃し、リフォーム会社から参考プランと概算見積りを取り寄せました。

広告では、古い室内を隠すのではなく、広さ、角部屋の窓、眺望、間取り変更の可能性を丁寧に伝えました。

内覧した買主は、戸建てからマンションへの住み替えを考えており、夫婦二人の生活に合わせて間取りを変更したいという希望を持っていました。

その買主にとって、未改装であることは欠点ではありませんでした。

自分たちの希望に合わせてつくり替えられることが、購入の決め手になったのです。

岡山で売れるのは、最もきれいな部屋とは限らない

岡山の中古マンション市場で売れる部屋は、必ずしも最も新しく、最もきれいな部屋ではありません。

岡山駅周辺で立地を優先する方。

戸建てを手放し、車を使わず暮らせる中心部へ住み替える方。

駐車場や学校区を重視する子育て世帯。

購入価格を抑え、自分好みにリノベーションしたい方。

同じマンションを検討していても、買主によって求める条件は違います。

全面リフォームが、その買主の不安を解消する場合もあります。

反対に、リフォームによって販売価格が上がり、買主の予算から外れてしまう場合もあります。

必要なのは、売主様の感覚だけで工事内容を決めることではありません。

同じマンションの成約事例、現在の競合物件、新築や築浅物件との価格差、想定される買主層を確認することです。

そのうえで、全面リフォーム、部分補修、ハウスクリーニング、現況販売の中から、最も手取りを残しやすい方法を選びます。

売却前のリフォームは、古い部屋を新しくすることだけが目的ではありません。

買主が購入後の生活と必要な費用を想像し、安心して決断できる状態をつくるための手段です。

岡山でマンションを売るときに考えるべきなのは、

「いくらかければ、きれいになるか」

ではありません。

「岡山でこのマンションを探しているのは、どのような買主なのか。そして、その方にどの状態で見せれば、この部屋の価値が最も伝わるのか」

ということなのです。

次回予告

第8話
「空室と居住中、岡山のマンションはどちらが売りやすいのか?」

いつでも内覧できる空室と、実際の暮らしが伝わる居住中。岡山の買主が内覧時に見ているポイントと、住みながら売却を成功させるための準備について考えます。