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岡山マンション市況物語|第8話 空室と居住中、岡山のマンションはどちらが売りやすいのか?

2026.08.17

空室と居住中、岡山のマンションはどちらが売りやすいのか?

「先に引っ越してから売るべきですか?」という相談

マンションの売却を検討している売主様から、よくいただく質問があります。

「先に引っ越して空室にした方が、売りやすいのでしょうか?」

いつでも内覧できる空室の方が、売却には有利なように思えます。

一方、まだ住宅ローンが残っている場合や、次の住まいが決まっていない場合には、先に引っ越すことが難しい売主様もいます。

居住中のまま売り出せば、現在の住まいに生活しながら売却を進められます。

しかし、内覧のたびに室内を片付け、予定を調整しなければなりません。

空室と居住中には、それぞれ異なるメリットと注意点があります。

大切なのは、どちらが必ず売れるかではありません。

岡山でそのマンションを探している買主が、どのような条件で物件を比較しているのかを考え、現在の状況に合った販売方法を選ぶことです。

今回は、空室と居住中でマンションの売れ方がどのように変わるのかを考えます。

岡山のマンション売却では、内覧できる日が限られる

岡山市内で中古マンションを探している方の中には、平日は仕事をしており、土曜日や日曜日にまとめて物件を見学する方が多くいます。

限られた時間の中で、岡山駅周辺、表町、中山下、大元、問屋町、北長瀬など、複数のエリアを比較することもあります。

県外から岡山への移住を考えている方であれば、岡山に滞在できる一日や二日の間に、できるだけ多くの物件を見たいと考えます。

そのような買主から見れば、希望する日時に内覧できる物件は検討しやすく、日程が合わない物件は後回しになることがあります。

特に中古マンション市場では、広告を見た買主の関心が高いうちに内覧へつなげることが重要です。

問い合わせがあっても、内覧できるのが二週間後になれば、その間に別の物件を見学し、購入を決めてしまうかもしれません。

この「内覧のしやすさ」は、空室と居住中の大きな違いになります。

空室の最大のメリットは、案内しやすいこと

空室のマンションは、売主様の予定を確認せずに内覧日時を調整できます。

当日の問い合わせや、急な時間変更にも対応しやすくなります。

買主が、

「今日の午後に見学できますか?」

と希望した場合でも、鍵の手配ができれば案内できる可能性があります。

また、買主が室内をゆっくり確認できることもメリットです。

居住中の内覧では、売主様に遠慮して、収納や設備を十分に確認できない方がいます。

空室であれば、各部屋の広さ、収納内部、水回り、窓からの眺望、日当たりなどを落ち着いて確認できます。

リフォーム会社と一緒に内覧し、工事箇所を確認することも可能です。

購入後にリノベーションを考えている買主にとっては、寸法を測ったり、間取り変更について相談したりしやすい環境になります。

空室だから広く見えるとは限らない

家具がない部屋は、床が広く見えるため、室内全体がすっきりして見えます。

一方で、買主によっては何もない部屋を見ても、実際の広さを判断できないことがあります。

例えば、図面に「LDK約16帖」と記載されていても、どの大きさのソファやダイニングテーブルを置けるのかは、簡単には想像できません。

洋室についても、

「ダブルベッドを置いて、左右に通路を確保できるのか」

「子ども用のベッドと学習机を両方置けるのか」

といったことが分かりにくくなります。

照明やカーテンが撤去されている空室では、実際以上に暗く、冷たい印象を与えることもあります。

室内に家具がないため、壁紙の汚れ、床の傷、建具の不具合などが目立ちやすくなる点にも注意が必要です。

空室にすれば、自動的に印象がよくなるわけではありません。

清掃、換気、照明、においへの対策など、空室だからこそ必要になる準備があります。

空室期間が長くなると、部屋は傷んで見える

人が住んでいない部屋でも、室内の状態は少しずつ変化します。

定期的に換気をしなければ空気がこもり、排水口の封水が減ると、室内ににおいが上がってくることがあります。

郵便受けにチラシがたまり、バルコニーに砂や落ち葉が入り込むこともあります。

夏場の岡山では、閉め切った室内の温度が高くなります。

内覧時にエアコンが使用できなければ、買主は暑さの中で室内を確認することになり、長く滞在できません。

反対に冬場は、照明のない冷えた部屋が、必要以上に暗く寂しい印象になることがあります。

空室販売では、定期的に室内へ入り、換気、通水、清掃、郵便物の確認を行う必要があります。

鍵を預かっている不動産会社が、どこまで管理するのかも事前に確認しておくことが大切です。

居住中の部屋は、生活のイメージを伝えやすい

居住中のマンションには、空室にはない強みがあります。

家具が配置されているため、買主は実際の生活を想像できます。

リビングにソファとダイニングテーブルを置いても通路が確保できることや、洋室にベッドと机を置けることが分かります。

収納についても、どの程度の荷物が収まるのかを確認できます。

また、売主様から実際の住み心地を聞けることもあります。

日当たりのよい時間帯、窓を開けたときの風通し、周辺の買い物施設、通勤や通学のしやすさなど、広告や図面だけでは分からない情報です。

岡山では、自動車を利用する世帯が多いため、駐車場から住戸までの移動や、朝夕の出庫のしやすさも重要になります。

子育て世帯であれば、学校までの道のり、近くの公園、病院、日常の買い物についても関心があります。

実際に住んでいる方の言葉は、買主が新しい生活を想像するうえで参考になります。

生活感が強過ぎると、部屋が狭く見える

居住中のメリットである生活感は、見せ方によってはデメリットにもなります。

家具や荷物が多過ぎると、実際の面積よりも狭く見えます。

リビングの床がほとんど見えない状態では、買主は部屋の広さを判断できません。

クローゼットに荷物を詰め込み過ぎていると、収納が少ないように感じられます。

玄関に靴が多く並び、キッチンや洗面台に生活用品が出たままになっていると、室内全体が片付いていない印象になります。

買主が見ているのは、家具や荷物そのものではありません。

その部屋に自分たちの家具を置き、自分たちが生活できるかどうかを確認しています。

売主様の生活用品が視界に多く入るほど、買主は自分の暮らしを想像しにくくなります。

居住中の内覧では、すべての荷物をなくす必要はありません。

床やテーブルの上に出ている物を減らし、部屋の広さと動線が分かる状態にすることが大切です。

売り出す前に、荷物を三つに分ける

居住しながら売却する場合は、室内の荷物を次の三つに分けると整理しやすくなります。

一つ目は、現在の生活で毎日使用する物です。

二つ目は、次の住まいへ持っていくものの、売却期間中は使用しない物です。

三つ目は、引っ越しを機に処分する物です。

売却期間中に使用しない物は、先に箱へ入れ、可能であればトランクルームや実家などへ移動します。

処分する物は、内覧が始まる前に減らしておきます。

特に玄関、リビング、キッチン、洗面所、バルコニーは、内覧時の印象に影響しやすい場所です。

すべての収納を空にする必要はありませんが、収納の扉を開けたときに中が確認できる程度の余裕があると、買主は収納量を判断しやすくなります。

片付けは、部屋をモデルルームのように見せるためではありません。

買主が広さや収納力を正しく確認できる状態をつくるために行います。

居住中の内覧では、においと明るさに注意する

室内のにおいは、住んでいる本人には気付きにくいものです。

料理、たばこ、ペット、芳香剤、洗濯物など、日常のにおいが室内に残ることがあります。

においの感じ方には個人差がありますが、買主が室内に入った瞬間に強いにおいを感じると、その印象が物件全体の評価につながることがあります。

内覧前には窓を開けて換気し、ごみを処分しておくことが大切です。

香りの強い芳香剤で隠そうとすると、かえって気にされる場合があります。

また、昼間でも室内の照明はすべて点灯します。

曇りの日や、北側の洋室、廊下、洗面所などは、照明をつけなければ暗く見えます。

カーテンを開け、バルコニーや窓の周辺を整えておくことで、日当たりや眺望も確認しやすくなります。

岡山駅周辺や中心部の高層マンションでは、眺望が物件の魅力になることがあります。

バルコニーに多くの荷物を置いていると、その強みが十分に伝わりません。

売主様は内覧に立ち会った方がよいのか

居住中の内覧では、売主様が在宅する場合と、外出して不動産会社へ対応を任せる場合があります。

売主様が在宅していれば、住み心地やマンションの特徴について直接説明できます。

一方で、買主が遠慮して室内を十分に見られないことがあります。

収納を開けたり、設備を確認したりすることをためらい、短時間で内覧を終える方もいます。

売主様と買主の会話が長くなり、購入条件や価格について、その場で回答しにくい質問を受けることもあります。

基本的には、不動産会社が室内を案内し、売主様には少し離れた場所で待っていただく方が、買主は落ち着いて確認できます。

買主から生活環境などについて質問があれば、そのときに売主様へお答えいただく方法もあります。

売主様が外出できる場合は、不動産会社に案内を任せることで、買主が気兼ねなく内覧できる環境をつくれます。

写真は空室でも居住中でも重要になる

現在のマンション探しでは、買主が最初に室内を見る場所は現地ではなく、インターネット上の広告です。

写真を見て関心を持たれなければ、内覧にはつながりません。

空室であれば、室内の広さや状態が分かるように、明るい時間帯に撮影します。

家具がない場合は、どの方向から撮影すれば間取りが伝わるかを考える必要があります。

居住中であれば、写真に写る荷物を減らし、個人が特定できる物や家族写真などは片付けます。

室内全体を掲載することに抵抗がある場合でも、リビング、キッチン、水回り、眺望など、買主が知りたい部分をできるだけ見せることが大切です。

写真が少ない物件は、室内状態に問題があるのではないかと警戒されることがあります。

岡山の市場でほかの販売物件と比較されたとき、写真の明るさや情報量が、内覧予約の入り方に影響することもあります。

空室にしてから売る場合の費用も考える

空室にすれば売りやすくなる可能性はありますが、先に引っ越す場合には費用が発生します。

新しい住まいの住宅ローンや家賃と、売却するマンションの住宅ローンが重なることがあります。

売却が完了するまで、管理費、修繕積立金、駐車場使用料、固定資産税などの負担も続きます。

売却に時間がかかれば、二つの住まいを維持する期間も長くなります。

そのため、単に「空室の方が案内しやすい」という理由だけで、無理に先行して引っ越す必要はありません。

売却予定価格、住宅ローン残高、次の住まいの取得時期、毎月の支払い、手元資金を確認し、先に引っ越しても問題がないかを判断する必要があります。

空室にすることで販売期間が短くなる可能性はありますが、必ず早く売れるとは限りません。

価格が岡山の相場から離れていれば、いつでも内覧できても成約にはつながらないからです。

居住中でも売却を成功させることはできる

居住中だから売れにくいと決まっているわけではありません。

実際には、売主様が内覧へ協力できる日時をあらかじめ決め、室内を整えておくことで、十分に売却を進めることができます。

例えば、毎週土曜日と日曜日の午後は内覧に対応できるようにしておく。

内覧希望が入った場合は、前日までに連絡をもらう。

急な内覧が難しい場合でも、候補日時を複数提示する。

このように販売開始時にルールを決めておけば、売主様の負担を抑えながら、買主を待たせずに日程を調整できます。

問題になるのは、居住中であることではありません。

内覧可能な日が少なく、問い合わせのたびに日程調整へ時間がかかることです。

買主の希望日に対応できない場合でも、できるだけ近い日程を提示することが重要です。

売却開始直後の内覧を大切にする

マンションを売り出した直後は、そのエリアで物件を探している買主から注目されやすい時期です。

岡山駅周辺や人気の学校区、供給の少ないマンションでは、新着物件を待っている買主がいることもあります。

販売開始直後に問い合わせが入ったにもかかわらず、片付けができていない、売主様の予定が合わない、鍵の準備ができていないという理由で内覧が遅れると、大切な機会を逃す可能性があります。

居住中で売る場合は、広告を掲載してから片付けるのではなく、内覧を受けられる状態にしてから販売を始めます。

空室の場合も、残置物の撤去、清掃、鍵の確認、照明や設備の点検を済ませておきます。

販売開始日は、単に広告を掲載する日ではありません。

買主から内覧希望が入ったとき、実際に室内を見てもらえる準備が整った日であることが理想です。

二つの部屋が選んだ売却方法

岡山市内のあるマンションで、同じ時期に二つの売却相談がありました。

一つは、売主様がすでに戸建てへ住み替えており、空室になっている3LDKでした。

室内には家具がなく、壁紙や床に多少の使用感がありました。

そこで、全面リフォームは行わず、ハウスクリーニングと部分補修を実施しました。

照明を残し、定期的な換気と通水を行い、いつでも案内できる状態を整えました。

県外から岡山へ移住を考えている買主から問い合わせがあり、岡山に来られる一日の中で内覧していただくことができました。

買主は室内をゆっくり確認し、リフォーム会社にも相談したうえで購入を決めました。

もう一つは、家族が生活している居住中の4LDKでした。

売主様は子どもの転校時期に合わせて引っ越す予定だったため、先に空室にすることができませんでした。

販売前に使用していない家具や荷物を減らし、土曜日と日曜日を中心に内覧へ対応することにしました。

内覧時には照明をつけ、カーテンを開け、家族には一時的に外出してもらいました。

購入したのは、同じ学校区で広い住戸を探していた子育て世帯でした。

家具が置かれた状態を見たことで、家族で暮らすイメージを持つことができ、収納量や各部屋の使い方も確認できました。

一つ目の部屋は空室だからこそ、遠方の買主へ柔軟に対応できました。

二つ目の部屋は居住中だからこそ、家族で生活する姿を具体的に伝えられました。

売り方は異なりましたが、どちらも現在の状態に合った準備をしたことで、部屋の魅力を買主へ伝えることができたのです。

売りやすさを決めるのは、空室か居住中かだけではない

空室には、内覧日程を調整しやすく、買主が室内をゆっくり確認できるメリットがあります。

居住中には、家具の配置や収納の使い方など、実際の生活を伝えやすいメリットがあります。

どちらにも、売却に有利な点と注意すべき点があります。

空室であっても、汚れやにおいがあり、照明がなく、室内管理ができていなければ、よい印象にはなりません。

居住中であっても、室内が整理され、内覧日時へ柔軟に対応できれば、買主は十分に検討できます。

売れやすさを決めるのは、荷物があるかどうかだけではありません。

岡山の市場に合った価格で売り出されているか。

問い合わせのあと、早く内覧できるか。

写真や広告で部屋の特徴が伝わっているか。

買主が室内を落ち着いて確認できるか。

そして、立地、駐車場、管理費・修繕積立金、眺望、間取りなど、そのマンションの価値が正しく説明されているかです。

無理に先に引っ越す必要はありません。

反対に、すでに空室であれば、その案内しやすさを最大限に生かすべきです。

岡山でマンションを売るときに考えるべきなのは、

「空室にすれば売れるか」

ではありません。

「現在の状態のままで、買主が見たいときに見学でき、その部屋で暮らす姿を想像できる準備が整っているか」

ということなのです。

次回予告

第9話
「売り出しても反響がない。岡山のマンションはいつ価格を見直すべきか?」

販売開始から最初の30日間に確認したい問い合わせ数、内覧数、競合物件の動き。すぐに値下げする前に見直すべきポイントと、価格変更の適切なタイミングについて考えます。